「アダンの木陰」の由来

2006年07月25日

Posted by 吉野のおじさん at 23:41 │Comments( 9 )
吉野海岸のコミュニティ広場の名前を「アダンの木陰」と言います。
今は 陰を作るようなアダン樹は有りません。4年前アダン林が何者かによって切り倒されという事件がありました。この事件については平成14年6月に新聞投稿し、掲載されました。

「吉野海岸にて」

♪ 別れの日は来た 吉野の浜にも 君は手を振る 坂道にたたずみ 
     忘れちゃいやだよ 吉野のおじさん アダンの木陰よ また来る日まで ♪
 
 これは私が作った「知床旅情」の替え歌「吉野浜旅情」の三番の歌詞です。
吉野浜には樹齢数十年のアダン樹の林があり、その木陰は格好のやすらぎの空間として、沢山の人に親しまれていました。そのアダン樹が何者かに切り倒されてしまいました。全部(二十数本)です。
きれいさっぱりと全部です。

 ブランコに揺られ、流木のベンチで憩い、おさなごはお砂遊び、さんごや貝殻でのアクセサリー作り、流木みがき、みんなアダンの木陰でのことでした。その木陰がなくなりました。
浜から不思議そうな面持ちで見上げ、恐る恐るのぞき込むようにして「ここ何?」、「こんなところ初めて見た!」、「日本じゃないみたい!」、「写真撮ってもいい?」と言われたあの不思議空間の今は在りません。

 樹によじ登る少年、はらはらしながら見守る母親、その眼差しの先に赤いアダンの実、良くパイナップルに間違われたアダンの実も青いままに終わりました。

 でも、アダン樹は復活します。砂遊びをしていたおさなごが恋をささやく年頃になったらきっとよみがえります。それまでしばらくの「お休み」を。
そして、「数々の感動と思い出をありがとう。」との思いを込めて、倒された樹を挿し木し、水をやり、一日も早い再生を願って丹精しました。ところがその挿した樹も全部抜かれました。30日(平成14年5月)のことでした。抜かれた樹の根方には新しい小さな根が出ていました。無惨という以外言葉もありません。

 この破壊行為に怒りを覚えると同時に、それを行った人達(一人ではできないボリュウム)の心の貧しさに悲しみを感じます。或いは、行為者達は正義を行ったつもりでいるかもしれませんが、如何なる正義の主張が有ろうとも夜陰に乗じて行う行為は犯罪であることをわきまえて貰いたい。

 これを機に、私が吉野海岸で行っていることの私の主張を述べたいと思います。
私の自然保護の考え方は、自然のための自然保護(放置)ではなく、人のために自然を護ることと考えています。人が自然に接し感銘を受け、生きる勇気を得、癒されことによって自然の美しさ、大切さを認識することによって自然保護への意識も高まるものと思います。

 吉野海岸では、遊泳者に幾つかの注意事項を話しています。或いは僭越と思われる人もいるかもしれません。実際、一民間人が初見の人に声をかけ注意事項を話すことははたで見るほど楽なことでありません。初見で相手にこちらの真意を伝えることは大変な勇気とエネルギーを要します。
その勇気を得るため、毎日、海岸のゴミを拾い、シャワー・トイレ(残念ながら公設のトイレは何者かが便器にコンクリートを流し込んだため使用できませんが、手作りの簡易トイレを作ってあります。)の管理、道路の補修(夜間工事)、道路の草刈りなど、皆さんが気持ちよく安全に遊んで貰えるような環境作りを心がけています。そうすることによって自分自身の自負として、初見の人へ声を掛けられる勇気が湧いてきます。

 或いは、民間でやらなくても、行政でやればいいではないかとのご意見もあるかもしれませんが、残念ながら、吉野海岸は世界遺産クラスの浜珊瑚群を有しながら、自然環境保全地域でもなく、文化財保護の環境保全区域でもなく、海中公園でもないため法律による保護は受けられない海岸です。
宮古島でも奇跡的に残された吉野海岸を護るためには、法律による規制ではなく、人と自然との共生を図りながら、人の自発的な自然保護への意識を高めてゆくことが早道であることを確信します。
 そのためには、コミュニティ広場としての「アダンの木陰」は必要であり、人と自然、人と人を仲立ちする人も必要です。
 よって、今後、如何なる嫌がらせや脅迫を受けようとも毎日吉野海岸へ通い続けます。





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定年後に海外移住・生活を行いたい。このような方が増えてきているようですね。テレビでも短期又は長期...
定年後に海外移住・生活 【 定年後 】at 2006年11月10日 01:18
この記事へのコメント
吉野のおじさん元気ですか
宮古へ通って早二年目で6回もわたりました。おじさんにコーヒーと泡盛を届けることが楽しみの一つです。いつもだんな様と吉野海岸へシュノーケルに行くのが楽しくておじさんのストラップ作りも和みます。本当に宮古はとりこになりました。人がやさしいし私まで気持ちがほっとします。
行くたびにおじさん元気かなぁとどきどきしながら、黒く日焼けした顔を拝見して生きてたぁ!とうれしくなります。
今度は10月10日から3日間宮古に行きます。女性二人ずれで主人は今回はお休みです。でも行きたがっています。
おじさんに会えることを楽しみに、そしてきれいな海に会いに行きます。
Posted by kumi at 2006年08月10日 03:16
吉野のおじさん:

honky_tonと申します。
ブログ上では、はじめまして。

ただ、私と家内と長男は、今年の5月1日および5月2日に、吉野海岸でおじさんにお会いしています。(断髪式の直後だったんですね。)
恐らくおぼえていらっしゃると思います。
おじさんにご迷惑をおかけしたので。

5月2日、家内と長男がおじさんと一緒に、海岸沿いを散歩に行ったのを知らず、てっきり海の中で溺れたものと思い、パニックになって走り回っていました。そのときは私は家内と長男が無事だったということだけで精一杯でしたが、同時に、ローカルの人が、「おじさんが連れ出したのが悪い。これでもう、おじさんはここには居れなくなる」というようなことを言っており、「おじさんに迷惑をかけたな」と申し訳なく思っていました。

ただ、そんなことがあったにもかかわらず、私たち家族は、吉野海岸と宮古島の自然と雰囲気の素晴らしさに魅せられ、先週の8月12日から16日まで再度宮古島を訪れ、吉野海岸にも行きました。

8月13日に訪れた吉野海岸では、
「もし、おじさんに会えたら、前回のお詫びをせねば」と考え、おじさんを探しましたが、見当たりませんでした。

その後、ホテルに戻り、何気なく新聞の社説を見ていて、「自立への提言(Ⅲ) 情けは人のためならず」を読みました。

この時、「あ、これは吉野のおじさんが書いているのではないか」と思いましたが、確証が持てませんでした。

そして、
昨日、会社でその時新聞に載っていた「NPO法人ニライカナイクラブ」を検索し、このブログにたどりついた次第です。

吉野のおじさん、
その節は、本当にご迷惑をおかけしました。心からお詫び申し上げます。


さて、長くなりましたが、ここからが本題です。

今回、2回目の宮古島訪問で感じたのは、
「やはり宮古島は素晴らしい。と同時に、このままではヤバい。」ということです。

ひとつは、やはり環境問題。

吉野海岸をはじめ、宮古島のたくさんのビーチを今回訪れ、泳ぎ、注意しながらもサンゴに接触してしまった私が言うのは憚られますが、「このままでは宮古島のきれいなサンゴ礁は5年はもたないだろう。」と感じました。

観光客に、環境を守る上での最低限のルール(マナー)を今以上に徹底することが必要だと思います。


ふたつめは、島の経済的な戦略。

この島は、今、何を競争力として経済発展しようと考えているのかが、今回の旅行では、見えてきませんでした。

観光なのか、農業なのか、Uターン、Iターン対象の不動産業なのか。はたまた、土木建築業なのか。(土木建築は今後望むべくもないということをタクシーの運ちゃんに具体的に説明を受けましたが。)

観光がプライオリティーであるならば、環境保護との対で考えなければならないことは必然であるのだが、前述のようにそれは出来ていない。

少なくとも、現在観光を最優先と置き、戦略的にその発展のために企画立案・実行をしているとは言えない状況だと思います。

経済は競争であり、競争をする上では、戦略が必要です。

戦略上、重要なのは、優先順位をつけることです。

宮古島は、島として、何が一番重要なのかの認識を共有することが、今とても必要だと思います。


などなど、部外者がわかったようなことを書いていますが、

いずれにせよ、私は 吉野のおじさんを全面的に支持します。

どのような形で、おじさん、ひいては宮古島を支援できるか考えていきます。


ボランティアとしての活動なのか
金銭の寄付なのか
NPOへの参加なのか
なんらかの法人への出資なのか


おじさん、

ブログに書かれているように
とても大変だと思いますが、少しずつ前進してください。

私も出来る限り目に見えるかたちで
おじさんを支援できるよう頑張ります。
Posted by honky_ton at 2006年08月23日 01:58
honky ton さんへ

メッセージ有り難うございます。
このような形で返して頂いたこと うれしく思います。

私も吉野海岸での活動は命がけでやっています。
中途半端で出来ることでは有りません。
それだけにトラブルを起こすことも有り、そのことで恨みを買うこともあります。

「アダンの木陰伐採事件」もその延長線上に起きたものと思っています。

人におこがましく、注意事項を話したり、注意をすることは結構エネルギーを使うことです。
そのことでトラブルが起きたら、ショックを受けます。
何故 そこまでやらなければならないのかと自己嫌悪に陥ることもあります。

今回 honky tonさんのメッセージによって救われる思いがしました。
有り難うございます。

なお 今回の件で、私が吉野海岸から追い出されることはありませんので、そのことは気になさらないで下さい。

追々 ブログで情報を発信していきます。
ご協力よろしくお願いします。
Posted by 吉野のおじさん at 2006年08月25日 10:00
こんにちは、お元気ですか・・。おじさんが天使の笑顔と呼んでくれたマリナの母です。今年は7月22日からおじさんにお世話になりました。お姉ちゃんも流木磨きで素敵なオブジェを完成させ宮古島の景色とおじさんとの記念撮影の写真を添えて、夏休みの課題として学校に提出させて頂きとても好評でした。
本当にありがとうございました。帰りの飛行機でも珊瑚のネックレスを見かけてスチュワーデスさんが声をかけてくれました。おじさんの存在が人にやさしさとゆとりを持たしている事がうれしかったです。吉野に魅せられて3年が経ちましたがこの3年で吉野が大きく変わった事に驚きました。宮古島の人(業者の方々)が吉野の素晴らしさを大切にしていない事が本当に悲しく、宮古の市役所の窓口に内地からの願いとしてメールをしました。くもの巣のように張り巡らされたパラソルの紐、平気で珊瑚の上に立つ人、魚を捕まえて持ち帰る人、それを見ても平然としている業者の方々・・。悲しすぎました。もっともっと宮古島に、吉野海岸に誇りを持って大切にしてほしいものです。あの素晴らしい吉野海岸をまだ生まれていない子供たちにも見て欲しいから・・。大好きなおじさんも吉野海岸も守りたいのに今の私には何も出来ないのが悔しいです。でも吉野海岸に対する思いは伝えていきたので、メディアや役所にあきらめず訴えていきたいなと思います。ただそのことがおじさんの迷惑になったとしたら私の本意ではないのですぐに止めますから教えて下さいね。どうぞ体に気をつけて、ずっと吉野のおじさんでいて下さい。来年会えるのを楽しみにしています。
おじさんと見た夜光虫や満天の星を子供も私も忘れません。おじさんのファンより
Posted by マリーン at 2006年09月08日 18:45
マリーンさん:

honky_tonと申します。

私も宮古島、吉野のおじさん、吉野海岸に魅せられた人間です。
8月に吉野海岸に行って、私も全く同じような感覚を持ちました。

何とかしたいと思うのですが、反面、生活がかかっている宮古島の人々の現実もなんとなく理解できます。
というようなジレンマの中で、内地の人間として何ができるのかを考えています。
内地の人間が、宮古島に住んでいる方々の総意と相反さないようなかたちで、草の根的に活動できたらいいなと思っています。

何かいい方法があったら教えてください。
淡々と力を合わせていきたいですね。
Posted by honky_ton at 2006年09月14日 23:18
honky_ton さんへ

共感して頂ける方がいてとてもうれしく思います。

そして私も本当にジレンマです。
おじさんにたくさんの素敵な贈り物をもらっているのに
何も出来きないことが・・・。
帰る日に「体ひとつになってもおじさんはここにいるよ。」と笑顔で
言ってくれた時、涙が出ました。

私達に出来る事、探していきたいですね。

吉野海岸での施設利用料は全然かまわないと思うのですが
せめて送迎の車内で自然保護のレクチャーをするとか
商売だけではなく、みんなで協力してあの素晴らしい吉野海岸を
守っていって欲しいです。現に美観が損なわれたと言う理由で
違う海岸に行く人が増えていると聞きました。
吉野海岸におじさんがいなくなったり、珊瑚や魚達が減ったら
収入源も減ってしまうのに・・・。

昨年宮古島で畑仕事をしていた方に「宮古の海は綺麗か?」と聞かれました。
当たり前すぎて気づいていないのかも知れません。
内地を知らなければ宮古島の良さも、内地の人が何を求めて
宮古島に来るのかもわからないのは仕方のない事です。
だからこそ素晴らしさを知っている人たちが
守っていかなければいけない気がします。
少しずつですが手紙やメールで内地からの願いとして
宮古島の方たちに届くことができればなぁと思っています。

他に何か出来る事があれば私にも教えて下さい。
たくさんの宮古島&吉野のおじさんのファンの方たちと
力を合わせていければいいですね。
Posted by マリーン at 2006年09月21日 15:01
おじさん、こんばんは。千織です。おじさんのブログ見つけて、一人感動しています。元気そうで何よりです。上の子が1年生になり、弟のほうが今月3歳になりました。二人ともわんぱく盛りで、虫を追いかけ、今年の夏は毎日蝉とりにつきあわされました。このブログを見て、来年の夏休みは是非宮古島へ子供達を連れて行きたいと思いました。子供は遊びの天才とはよく言ったもので、その辺にいるだんご虫でさえ、興味深々に観察しているのを見ると、ますます子供にはたくさんの自然にふれさせたいと思うものですね。きれいな珊瑚と魚を見せてあげたいです。私も珊瑚のネックレス作るの楽しみにしています!
Posted by chiori at 2006年09月23日 00:26
マリーンさん:

honky_tonです。
コメント、ありがとうございます。

確かに、「自分のよさは自分では気づかない」という
ことは、よくありますよね。

それにしても、私やマリーンさんのような内地の人間に
何が出来るのか。

1.観光で宮古島を訪れた人々への環境保全の訴求
2.宮古島の方々へ、宮古島の素晴らしさ&それを守ることの重要性の訴求

上記を、宮古島の外から実行しようとすると、
やはり、マスコミを巻き込むしかないような気がしています。

本来は、草の根的活動をしたいところですが、
地の利が全然ないので。

そういえば、私が吉野のおじさんの7月のブログの内容を
始めに見たのは、8月に宮古島で読んだ、新聞の社説欄でした。

こういう新聞に、企画を持って行って
「内地からの声」みたいなコーナーを作ってもらえれば
有志のメンバーで投稿するなどのかたちで、
何とかなるかもしれませんね。

あと、観光客向けには、空港とかレンタカー屋で配っている
観光案内用パンフの1部に、観光客に守ってもらう
「海岸でのエチケット」みたいなページを入れてもらうことですかね。

こちらは、最初のうちはお金がかかるかもしれませんが。

ますは、具体的に「観光客は何を守るべきなのか」の
のコンテンツをつくることかもしれませんね。

それがあれば、地元の人々や自治体とかも
とりあえず、会ってもらえるような気がするので。

今日のところはこんなところです。
Posted by honky_ton at 2006年09月24日 19:05
chioriへ
おじさんです。
そちらのアドレス教えてください。

yoshinonoojisan@yahoo.co.jp
Posted by 吉野のおじさん at 2006年09月25日 12:03
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